エトー文具店

戦前中野銀座ともいわれるほど賑わいを見せていた交差点の一角に鍋横の顔ともいえるエトー文具店がありました。店の大正〜昭和〜平成の移り変わりは鍋屋横丁の歴史とも言えます。

大正時代「江藤商店」として始まりました。昭和初期の写真の看板には畳表・雑貨・和洋紙・文房具の文字があります。荒物から文具まで日用品なら何でも揃っていました。店の前は青梅街道で路面電車の軌道が見えます。
昭和初期、青梅街道が拡幅されるのを期に江藤紙文具店が堂々たる建物で誕生します。看板に昭和5年日記類売り出しとあります。街も戦前の最盛期へと向かいます。残念ながら昭和20年に空襲対策のための強制疎開で取り壊されました。
2階の窓の日除けが目新しい戦後の建物です。大きなパイロット万年筆の看板が目立ちます。昭和30年〜40年の鍋横が登場する浅田次郎の小説「メトロに乗って」に出てくる「角の文房具屋」です。
昭和63年にエトー文具店も新しいビルとなりました。文房具もいろいろ変化を見せ、数多くの品が揃っていましたが、平成23年惜しまれつつ永きにわたる歴史の幕は降ろされました。