道しるべ(お題目石)の移設

鍋横交差点近くのお店の間に明治11年建立の「道しるべ」としての石碑、お題目石がありました。元は青梅街道にあったものを、昭和5年の拡幅時に土地の所有者の好意でこの場所に移されたものです。

建立以来125年の歴史があり、鍋横のシンボルとして中野区の資料にも載っています。その側面に堀之内まで十八丁十間(1980m)と刻まれ裏側には鍋屋の銘があり、この辺りに鍋屋があったという証でもあります。

平成14年1月にこの場所にマンションが建設される話が持ち上がり鍋横町会長の江藤利雄氏を代表とする「鍋横道しるべ保存会」が設立されました。保存会で移設場所について話合いの結果、鍋屋横丁が古くから妙法寺の参詣道の入り口として栄えたまちであると同時に、現在も初詣や縁日、厄落としに詣でたりと馴染みが深く地の利の関係も良いという意見が多く、妙法寺に移設するのが望ましいという結論に達しました。

3月18日に移設の式典を行い各町会長、保存会のメンバー、地域の方々が出席し、そして石材店による移設作業が始まり、無事に妙法寺に運ばれていきました。この様子は3月21日の“シティーテレビなかの”で放映されました。10月12日に妙法寺では「日蓮上人生誕750年」ということでお題目宝塔建立記念の式典が盛大に執り行われ、それに合わせて「鍋横道しるべ」も敷地内に設置されました。

移設時の式典の様子と妙法寺参道入口に設置された道しるべです。

移設の「思い出ものがたり」

清水ヒサエ:平成14年談
「道しるべ」を壊さない方法で、出来ればマンションの片隅に置いてほしいと申し入れたところ「希望に添えないかも」と言われ、今後の移転場所を考えることにしました。区に相談したところ、地域の文化財的な存在なのに所有者がはっきりしない事や宗教色が強い事などで移転先の特定や文化財としての認定の申請ができないと言われ困りました。みんなで保存会を立ち上げることにし縁のある妙法寺に移設についてお願いしたところ、快諾をいただきました。
「道しるべ」も安住の地が決まり安堵したことでしょう。

現存するお題目
石享保3年(1718年)妙法寺参詣道の道標として建立。ほりの内道と刻まれています。

移設後鍋横の地に「道しるべ」が存在した証を後世に伝えるための解説板を設置することにしました。
「道しるべ」の移設及び解説板設置にかかる費用は「道しるべ保存会」を中心に、地域の皆様からご協賛をいただき、平成14年12月10日に解説板を区道上に設置しました。

保存会による除幕式と出来上がった解説版です。